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入院治療の後にくる介護~介護保険の利用準備と在宅介護への備え


平成20年(2008年)4月から、75歳以上の高齢者を対象とした公的医療保険である「後期高齢者医療制度」が、日本の社会保障制度のひとつに加わりました。

後期高齢者医療制度 5分で概要マスター


ところで「後期高齢者医療制度(長寿医療制度)」においては、75歳以上の高齢者は「後期高齢者」として分類・呼称されています。

後期高齢者という表現が不適切であるとして、ひと頃メディアで取りざたされたのは記憶に新しいところです。


ただし75歳ごろを境として入院治療が必要な患者治療が長期化する患者数が大きく増えてくることや、複数の病気にかかったり認知症を発症する患者の割合が高まってくることは、残念ながら事実です。

高齢者がひとつづつ歳を重ねるほどに、いやおうなく病気や介護の問題が、本人とその家族に迫ってくるのです。


2009年版の政府「高齢社会白書」によれば、現在の総人口に占める後期高齢者の割合は10.4%、すでに10人に一人を超えています。

そしてあと30年経たないうちに、5人に一人の割合に達すると予測されています。


猛スピードで高齢化が進むこの日本で、わたしたち介護保険の利用者は、病院での治療・医療と、介護の問題を分けて考えることはできません

それまでは健康だった(ないしは持病があっても軽症だった)高齢者が、突然脳血管疾患で倒れたり、あるいは骨折による長期入院をきっかけとして、そのまま介護生活に移行してしまう...というケースなどは、実によく見聞きする話です。


すなわち「介護」は、それ自体独立してやって来るものでなく、現実には病気やケガなどによる入院医療とセットで、あるいは一連の出来事として起こる可能性が高いのです。


なにも75歳以上に限った話ではなく、ある程度年齢が進んだ高齢者が病気やケガで入院したような場合は、あわせて介護の問題が生じる可能性を日頃から考えておかなければならない...ということです。

 

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一般に病院での入院期間は、90日3ヶ月までのところが多いといわれています(患者の在院日数が3ヶ月を超えると国から受け取る診療報酬が少なくなるという、病院経営上の問題が背景にあると指摘されています)。


たとえば高齢の親が脳梗塞や脳卒中で倒れた場合、治療を専門とする急性期の病院医療行為を受け、そのままその病院に入院したとします。


治療後一定の日数がたって症状が安定してきた後は、療養型の病院への転院介護施設への入所、あるいは自宅に戻り介護と並行してのリハビリを続けるなど、いずれにせよそこを退院し別の方策をとらなくてはなりません

元の状態に戻るまで同じ病院に入院し続けることは、現実にはきわめて困難なのです。


治療内容や病気にもよりますが、90日どころか、ひと月経つか経たないかのうちに退院ないし転院をすすめられるケースすら、今日では当たり前にすらなっています。

したがって、病院や家族らと相談して「退院後も継続的な介護が必要と判断した場合は、入院治療を受けている段階から早々に、退院後をにらんで準備をスタートする必要があります。

在宅介護 現状の問題解決には、家族の覚悟・ゆとり・工夫が必須


介護保険を利用する場合、介護保険のはじめの一歩 「要介護認定」と「ケアプラン策定」 で記したとおり、まずは市町村の担当窓口に相談・手続を行って、「要介護認定を受けるのが第一歩となります。


要介護認定の流れ・申請時の注意点~平成21年4月の基準見直しの影響 でもご説明したように、要介護認定がおりるまで1ヶ月程度はかかりますので、介護施設への入所を考えるならばその間に候補先選びが必要になります(理想的には、介護施設を探す場合は利用者本人が元気なうちから情報収集を開始しておきたいものです。姉妹サイト記事 介護施設への入所、いつからどう準備するか。 ご参照)。


自宅介護を選択した場合も、居宅介護支援事業所(およびケアマネジャーの選定に備えた情報収集、そして利用者の自宅がどの程度介護に適した状況かについてのチェック(家族が介護に充てられる時間、居宅のバリアフリー化の程度など)、さらには必要となりそうな介護用品福祉用具の確認・選定なども行っておかなければなりません(介護用品・介護機器・福祉用具とは。介護保険との関係。 ご参照)。


また、家族の仕事の都合からいわゆる「遠距離介護」を選択した場合には、飛行機代仕事のスケジュール調整など、考慮すべき要素がさらに増えてくることになります(遠距離介護については、以下記事をご参照)。

 ・ 「遠距離介護」、介護施設選びで気をつけたいポイント。
 ・ 「遠距離介護」、避けては通れない交通費問題と、その対策



自宅で「医療介護」を行う選択をした場合、先々に本人の状態が悪化し、最終的に在宅介護が難しくなるというケースも十分に想定しうることです。

空き時間ができた折りに介護施設の候補先を訪問するなど、事態の急変に備えた先々の準備を、日頃から行っておくようにします。


また、退院後すぐに介護施設に入所したものの、施設介護がどうしても本人に向いていないとか、あるいは経済的負担が大きすぎるため自宅医療・自宅介護に切り替えたいなど、逆のケースもまた起こり得る話です。


この場合も、担当医師地域包括支援センター行政の介護・高齢者専門窓口などに出向いて相談し、今後の対応スケジュールや介護費用などについて、あらかじめ段取っておくようにしたいものです(なお介護費用については、 介護保険に加えて、市区町村・民間の提供サービスも活用したい もあわせてご参照ください)。

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