介護サービス・介護予防サービス 種類とその概要 からの続きです。
●上記のように種類が細かくわかれるサービスのなかから、自分の場合はどれが適していて、金額的にいくつのサービスをどこまで介護保険で利用できるのか...といったことは、慣れない利用者にとっては判断がつきませんね。
そこでまずまっ先に、「要介護認定」というものを受けて、どのレベルの介護が必要かということについて、外部からのお墨付きをもらう必要があります。
介護保険の利用はここがスタートとなり、要介護認定無しで、介護保険を利用することはできません。
そして要介護認定で介護サービスの給付額が決まってくる以上、その判定基準は全国一律となっています。
●要介護認定の申請は、介護保険の被保険者本人ないし家族が通常は行いますが、民生委員や地域包括支援センターなど定められた代行者が行うこともできます。
申請は市町村役場の担当窓口に行いますが、最寄りの地域包括支援センター(在宅介護支援センター)に対して行うこともできます( 「地域包括支援センター」「在宅介護支援センター」。 ご参照)。
なお要介護認定の手続の流れについては、要介護認定の流れ・申請時の注意点~平成21年4月の基準見直しの影響 をお読みください。
●要介護認定がでた後に、要介護度に定められた細かなルール・費用面などの制約の範囲内で「どのようなサービスをいつ、何回くらい利用するか」といった計画をたてなくてはなりません。
これを「ケアプラン(介護(予防)サービス計画)」と呼びます。
ケアプラン無しでサービスを受けた場合には、利用者の1割負担が適用されず、いったん全額を支払っておいて、申請を行い後から9割を戻してもらう「償還払い」になるため(要支援の場合には全額自己負担になる)、現実には必ずケアプランの作成が必要となります。
実はケアプランは自分の力で作ってもよいのですが、サービスも細かくてなかなか難しいのが普通ですので、多くの場合専門家の力を借りることになります。
この専門家が「ケアマネジャー(介護支援相談員。ちなみに介護予防の場合には、依頼先はケアマネジャーではなく、「地域包括支援センター(の職員)」となるので注意)」で、利用者としての実情や希望をケアマネジャーに相談しながら、いっしょに作成していくことになります。
●ケアマネジャーは、要介護認定の結果通知の送付時に同封されている「居宅介護支援事業者リスト」をみて事業者を選ぶことで、事業所所属のケアマネジャーが後日訪問してくれます。
「(指定)居宅介護支援事業者」とは、ケアプランの作成や、介護保険の提供サービスやサービス施設の紹介・調整、サービス費用の計算や請求などを利用者に代わって行う、都道府県の認可を受けた法人の事業者です。
これらの事業者の活動拠点は「(指定)居宅介護支援事業所」と呼ばれ、ケアマネジャーの常勤などが義務づけられています。
いわば「利用者」「介護サービス提供事業者」そして「行政」の三つの調整窓口となる場所です。
ちなみに要支援の認定を受けた人、すなわち介護予防サービスにかかわるケアプランを作成する場合は、「担当となる地域支援包括センターの連絡先」が送られてきます(なお地域によっては、居宅介護支援事業所のケアマネジャーへのケアプランの作成委託も可能となっているようです)。
●事業者(ケアマネジャー)選びは、その後の介護保険の利用の成否を決めるといってよいくらいに重要ですが、お役所は推薦リストまではつけてくれません。
リストにもとづいて、いくつかの居宅介護支援事業者の事務所に電話をしてみて、担当の候補となるケアマネジャーとは直接会い、いろいろ聞いたり話をしてみることが大事です。ここで手間ひまを惜しんではなりません。
近隣の高齢者や実際の利用者の口コミなども含めた情報収集を事前に行い、慎重に選定することが必要です(もちろん、後日に変更することもできますが)。
●ケアプランの作成は、ケアマネジャーの報酬も含め全額介護保険から費用がまかなわれるので、自己負担は発生しません。
ケアプランはその後の日々の介護を決める図面となりますので、実際の支払負担予定額など細かい部分を含め、納得のいくプランを練るようにしたいものです。
●ちなみにケアマネジャーの大半は介護事業所に雇われて働いており、独立系のケアマネジャーは少数派というのが現実です。
そのためサービスの選択では、彼らが所属する介護事業所のサービスを使うことをすすめられることが多くなるのは、ある意味やむを得ないことです。
ただしそうであっても、利用側としては個々のサービス内容について、ケアマネジャーと十分に話しあって決めるのが大切なことは言うまでもありません。
●調査によればケアマネジャーは介護福祉士であることが最も多く、看護師(准看護師)等の医療系資格の保有者が少ない傾向にあります。介護系・医療系のどちらを得意としているかも、ケアマネジャーによって違ってくるわけです。
厚生労働省の調査ではケアマネジャー1人あたりの担当数は平均で26人となっていますが、現実には1人あたり35件前後を担当しています。彼らは個々の担当先の実情を細かく把握できないほどに忙しく、日々業務に追われています。
さらに前述のとおり、所属先の事業所からはできるだけグループ内の介護サービス利用を薦めるように指示が出ているものと考えておくべきです。
したがって家族は、「専門家のケアマネジャーにお任せ」といった態度をとるべきではありません。たとえばケアプランの策定・更新時には、それが本人の現況をきちんと見て作られたものかどうかを積極的にチェックし、必要な意見や希望等ははっきり伝えるべきです。
●要介護認定の更新にかかわる有効期間は通常12ヶ月ですが、その更新時にケアプランも見直して変更を加えるようになっています。
ケアプランの更新は、「要介護認定の更新期限の60日前から」受け付けていますので、近づいたときに介護の進み具合などを踏まえてケアマネジャーと相談しながら、更新を行っていきます。
ただし緊急の場合などは、その段階でケアプランの手直しを行うことも可能となっています(ケアプランやケアマネジャーを変更する場合の、手続と注意点 ご参照)。