ケアプラン作成~契約に至るまで、介護保険利用者が注意すべき点 からの続きです。
●サービス事業者との契約が完了したら、ケアプランにもとづいて介護(介護予防)サービスを利用していくことになります。
しかし介護保険サービスを利用しているうちに、計画をたてた段階では気づかなかった不都合な点がでてきたり、必要のないサービスがケアプランに組み込まれていたことに気づいたり、あるいは利用者の心身状況が変わってきたために、ケアプランそのものを見直す必要に迫られることもあるかと思います。
●要介護認定の有効期間は、「新規認定」の場合は通常「6ヶ月」、そして「更新」の場合は通常「12ヶ月」となります。
なお、ついうっかり要介護認定の申請を忘れてしまった場合、さかのぼって申請を受理してもらうことはできませんので注意してください。
有効期間が切れたときにサービス利用を開始した場合、かかる費用は全額自己負担となってしまいます。
保険者である市町村が介護認定審査会の意見にもとづいて、有効期間を短縮ないし延長する場合もあります。
更新申請をする被保険者の心身の状態が安定している場合などは、最長で24ヶ月間まで設定されるケースもあります。
まとめると、要介護認定の有効期間は「原則として新規は6ヶ月、更新は12ヶ月、最長でも24ヶ月、市区町村の判断で期間が短縮・延長されるケースあり」となります。
●ちなみに利用者の心身状態が急に悪化した場合など、要介護の区分変更を急ぐときに6ヶ月を待たずに行える「区分変更申請」というものがあります。
区分変更申請が適切に行われ要介護度が上がった場合は支給限度基準額も増えることから、利用者側の介護の負担感は軽減されますが、そのぶん単価の高い介護サービスを使用することも多くなるため、月々の経済的負担がアップする可能性が高まります。
区分変更を考える場合はケアマネジャーに相談し、利用者の負担額がどれほど増えそうかについて、おおまかにでも事前に確認しておくとよいでしょう。
●さて、更新の申請手続は「要介護認定の有効期間が満了する60日前から」行うことができます。
このときに、あわせてケアプラン自体の見直しを考える場合は、担当ケアマネジャーや地域支援包括センターと相談していくことになります。
●要介護の場合、見直したケアプランの内容が「要介護度別の支給限度基準額」におさまっているならば、月末に作成する「給付管理表」の内容変更をケアマネジャーに依頼すればOKです。
ただし、サービス提供事業者に不満があるなどの理由で、サービス事業者自体を変更する場合は、市町村に変更の届出を提出する必要があります。
●ところで、「ケアプランの変更を行いたい」「区分変更の申請を行いたい」と考えた場合に、担当ケアマネージャーがこちらの立場にたって動いてくれなかったり、あるいは連絡がとりにくかったり対応が鈍かったりで、「ケアマネジャーとの相性が悪い」と感じるケースもあると思われます。
ケアマネージャー本人と話し合って事態の改善が見られないような場合は、そのケアマネジャーが所属する事業所の責任者に話をして、担当ケアマネジャーの変更を依頼するのがよいでしょう。
それでもダメな場合(サービス提供事業者自体に信用が置けなくなった場合)にはやむを得ないので、サービス提供事業者を変えることになります。
●このときは、新しく依頼を考える事業者とこれまでの事業者とではサービスの提供方法や費用などが異なる場合が多いため、事前にある程度準備をする必要があります。
地域支援包括センターに相談し複数の候補先を選んでから、近隣の利用者の口コミ情報やインターネット検索なども活用して、これまでと同じサービスが利用できる事業者をあらかじめ絞っておく必要があります。
加えて、現在の事業者とのサービス契約書をファイルから引っ張り出し、事前の申し出をいつまでに行うとか、あるいは中途解約した場合の違約金の処理など、サービスの契約解除にかかわる部分についても確認しておきます。
違約金や中途解約の精算金などが発生しないかたちで行えるならば、もちろんそのほうがよいですし、また移行のタイミングにおいても「翌月の月初から」のように、できれば請求書上の区切りがよいときがベターでしょう。
このように制度上はケアマネジャーや事業所の変更が可能なものの、「お世話になっているので」と遠慮してしまう利用者も少なくないのが現実です。
しかしケアマネジャー選び・事業所選びは、本人の要介護生活の質を左右するほどに重要です。のちの後悔を招かないためにも、言うべきことは毅然と主張する姿勢を持ちたいものです。