●介護保険のはじめの一歩 「要介護認定」と「ケアプラン策定」 でご説明した「要介護認定」においてその結果を受けとったものの、要介護と認定されておかしくないにもかかわらず、要支援の認定を受けた。
あるいは「非該当(自立)」と認定され、介護保険が利用できないこととなった。
利用者としては、要介護認定の結果に対してどうしても納得がいかない...そのようなケースが、現実に全国のあちこちで頻発しています。
●理由はいろいろ考えられます。
訪問調査のときの調査員の調査に問題があったのかもしれないし、主治医意見書にきちんと利用者の現状が記載されていなかったのかもしれません。
あるいは介護認定審査会における審査が不十分だったのかもしれませんし、財政がひっ迫している市区町村が少しでも給付費を削減するべく、認定基準を厳しめに解釈しているためかもしれません。
まずは市区町村の担当窓口に、要介護認定がそのような結果となった理由を確かめる必要があります。
●そのうえでどうしても認定結果に納得がいかない場合、利用者がとれる方法としては「都道府県に対する不服申し立て」と、ケアプランやケアマネジャーを変更する場合の、手続と注意点 でもご説明した「市区町村に対して直接行う区分変更申請」があります。
●まず「都道府県に対する不服申し立て」ですが、これは行政不服審査法に定められた、行政の処分に対する不服申立制度のひとつです。
介護保険法にもとづいて都道府県ごとに設置されている「介護保険審査会」に対して、不服申し立てを行います。
それにもとづく調査の結果、要介護認定が不当だと結論づけられた場合は、市区町村の認定を取り消しあらためて調査を行うというものです。
ただし、この不服申し立ては「要介護認定の通知を受け取った翌日から60日以内」に行う必要があります。
また結果がでるまでに下手をすると、数ヶ月程度の時間がかかることも難点です。
介護保険審査会に対する不服申し立てのやり方については、市町村の窓口や地域包括支援センターにたずねてみるとよいでしょう。
●もうひとつの「区分変更申請」は、じつは意味合いとしては結果を不服として行うものではなく、通常の要介護認定の更新を待っていては時間がかかるため、要介護度が変化したと判断した段階でそれを待たずに行える申請、という性格のものです。
しかし現実には、要介護認定の結果を不服とする利用者によってひんぱんに活用されています。
ちなみにこの場合、要支援の利用者が行う申請は「区分変更申請」でなく、「要介護認定の申請」となります。
区分変更申請のやり方は、最初に行った要介護認定の申請と同じです。
区分変更申請は時期的にはいつでも行えますし、再調査の結果は30日以内に出ます。
首尾よく認定区分が変更された場合、それにともないケアプランも必要な部分を変更していくことになります。
注意点としては、区分変更申請の審査を行ったとしても、結果として希望する要介護度に認定されないリスクもあることです。
区分変更申請を考えている場合は、まずは担当ケアマネジャーに相談し手続を行ってもらうようにしましょう。