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平成29年(2017年)の介護保険改正(3)~共生型サービス・市町村の権限強化


平成29年(2017年)の介護保険改正(2)~ 「総報酬割」導入・「介護医療院」新設 に引き続き、改正点のポイントを解説します。


(4)障害福祉制度にまたがる「共生型サービス」が誕生[平成30年(2018年)4月実施]


これまでは、障害者向けの福祉サービスを受けてきた方が介護保険のサービスを使おうとする場合、別々の法律であることから、それぞれの基準を満たす必要がありました。

したがって障害者が高齢になって介護保険サービスを利用したい場合に、使い慣れた事業所を変えなくてはならないケースも、少なくありませんでした。

介護保険の事業者としても、障害福祉サービスを提供したい場合、各制度の基準を満たした上で個別に事業所指定を受ける必要があり、手間がかかるデメリットがありました。


今般の改正では、介護保険・障害者総合支援法・児童福祉法にまたがった「共生型サービス」が、新たに位置づけられました。

共生型サービスは、訪問介護や通所介護などの「居宅介護サービス等」が対象として想定されています。


これら共生型サービスの運営事業者が、いずれかの法律に基づく基準を満たしてサービス指定を受けていた場合に、他の法律に基づく指定を受けやすくする特例を設けるものです。

つまり介護保険事業所が障害者福祉施設の認定を取りやすくなる(逆もしかり)ため、入所者は引き続き同じ施設でのケアを受けやすくなります。


地域によって事情も異なることから、これは「特例基準」として運用され、国が2018年度に定める介護報酬改定・改正基準にもとづき、都道府県や市町村が具体的な内容を条例で定めることになります。

 

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(5)市町村のサービス事業者への権限・関わりを強化


市町村は「地域密着型サービス」事業者の指定権限を持っています。

これまでも、市町村が定めた介護保険事業計画の達成に支障が出そうな場合は、市町村が新たなサービスの指定をしないことが可能でした。今回の改正により、この市町村が指定を拒否できる範囲に、新たに「地域密着通所介護」が加わりました[平成30年(2018年)4月実施]。


指定拒否の要件は、以下の2つになります:

1)新たに「地域密着通所介護」の指定を行ったときに、市町村が介護保険事業計画で定めた見込み量をオーバーしてしまう場合。それ以外であっても、計画の達成に支障をきたすおそれがある場合。

2)その市町村の区域内に、「定期巡回・随時対応型サービス」や「小規模多機能型サービス」等がある場合。


地域密着型サービスは事業者が手がけるニーズが高いため、これをそのままにしておくと同じ市町村に同種のサービスが必要以上に増えすぎる恐れがあり、国の介護給付費や市町村の介護保険料の上昇にもつながりかねません。

そこで市町村の指定権限を強化したわけですが、全国的な整備がなかなか進まない「定期巡回サービス」や「小規模多機能型サービス」が市町村に在ることを要件にすることによって、国が間接的にその普及を促しているわけです。


加えて、原則都道府県の権限となる「地域密着型サービス事業者以外の指定」についても、これまで市町村が関わる仕組みとして設けられていた「市町村協議制」に改正が加えられました[平成29年(2017年)4月実施]。

この「市町村協議制」は、地域密着型サービスが主に展開される舞台が市町村であるにも関わらず、ほとんど活用されていないのが現状です。

改正後は「居宅サービス等の指定」について、市町村長が知事に対して意見を述べ、都道府県はその意見を勘案したうえで、サービスの運営にあたって事業者に適切な条件を付すことができるようになりました。


たとえば同じ市町村の圏内に、同種類の居宅サービスが過剰に存在するケースがあります。こういった場合に、市町村長が都道府県に意向を伝えられる仕組みを明示したことによって、居宅サービス等の指定について市町村の意向を反映できる余地が高まります。


なお平成27年(2015年)の法改正により、すでに「居宅介護支援事業所の指定権限」が都道府県から市町村に移行することが決まっていましたが、この完全移行も平成30年(2018年)4月からとなっています。

居宅介護支援事業所の「運営基準」も、市町村が条例で定めることができるようになりました(ただしこれは、2019年3月末まで猶予期間が設けられています)。


これに伴い、報告の求めや指示・研修受講命令などケアマネジャー個人に対する指導権限も、市町村に移行します(ただし市町村の指揮監督能力に地域差があることを考慮し、政令によりこの措置は指定都市に限定されています)。

地域包括ケアを進める市町村がケアマネジャーと積極的に関われる環境をつくることで、両者の関係性をこれまで以上に密にするのが狙いです。


このように国は、「保険者である市町村の機能を全体的に強化する方向」に舵を切っています。

国が介護給付の「重点化」を進めるなかで、地域包括ケアの中心となる市町村が体制の整備を図りやすいよう、さまざまに配慮を強めていることが見てとれます。


(6)市町村の事業評価を義務づけ[平成30年(2018年)4月実施]


地域包括ケアの中核となる「地域包括支援センター」については、介護保険法において、次の2つが改正されました。

1つめは、「地域包括支援センター自ら」が事業の質を評価することについて、これまでの「努力義務」から「図らなくてはならない」と完全に義務化されたこと。 2つめは、「市町村が行う」地域包括支援センター業務の点検も、これまでの努力義務から「業務の評価を行うこと」として完全に義務化されたことです。


また、これまで地域包括支援センターの主導で行われることの多かった「地域ケア会議」については、今後厚生労働省の定める省令に従うことが義務づけられました。

従来の地域ケア会議は、ともすれば参加者がそれぞれの立場から事例を持ち寄ることに傾きがちになり、話が散って一定の方向性を打ち出しにくい面がありました。

地域ケア会議の水準を一定以上のレベルに保ちながら、会議の方向性を明確にしていきたいという国の思惑があるようです。


また、「市町村の介護保険事業計画」についても、立てっぱなしにせず自ら評価と分析を行い、実績評価を行うことが義務づけられました。

実績評価の都道府県への報告や、一般公表(努力義務)も求められており、これらを支援するためのインセンティブとすべく、国が新たな交付金を設定することも改正法に明示されました。


(7)有料老人ホーム規制の強化[平成30年(2018年)4月実施]


有料老人ホームについても、一括法および老人福祉法に以下を内容とする改正が盛り込まれています。


A)有料老人ホームの都道府県への届出義務事項に、「入居者が適切なホーム選択のために必要となる情報(施設概要・利用料金・サービス内容等)」を含めた。そして都道府県は、これらの情報を(一覧表などで)公表しなければならない。

B)有料老人ホームに対する都道府県知事の権限が強化された。これまでも「立入検査」「事業の改善命令」の権限があったが、これに加えて入居者保護に必要な場合は「事業の制限・停止命令」が出来るようになった。

C)有料老人ホームに設けられている「前払金の保全措置」が、すべてのホームに義務化されることになった(ただし、3年間の経過措置あり)。2006年3月以前に設立されたホームは、これまで前払金保全措置の適用対象外であったが、今回の改正によりこれらの施設にも適用されることとなった。

D)有料老人ホームが事業停止に至ったとき、都道府県は入居者の生活の安定に必要がある場合は、介護支援等を続けて受けられるよう「必要な助言等の援助」に努める旨の努力義務が定められた。

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