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混合介護とは~介護保険外サービスの広がりに備える

介護保険には自己負担が「保険内」、つまり原則として自己負担額がサービス費用の1~2割で済む部分と、 全額自費となってしまう「保険外のサービス」があります。

この両方、すなわち「保険内サービス」+「保険外サービス」をあわせて提供することが「混合介護」と呼ばれます。


ちなみに医療保険においても、保険診療と保険外診療を併用する「混合診療」があります(介護保険の混合介護と異なり、こちらは「原則として」禁止されています)。

保険診療と保険外診療の併用について(厚生労働省)


医療保険でも「混合診療」の解禁に関する議論が続いていますが、介護保険においては、「保険内」「保険外」の区別が明確にできるという「条件付き」で、制度がスタートした2000年から「混合介護」が認められています

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ただし、この「保険内」「保険外」の区別について行政上の解釈が非常に厳しいことから、介護事業者がサービスの展開にどうしても及び腰となり、広く活用されていないのが現状です。

(ちなみに現場では保険外サービスが「横出しサービス」「上乗せサービス」と呼ばれることもありますが、これらは市区町村など自治体が条例を定めて提供する「介護保険制度上のもの」と、事業者が独自に提供する「介護保険制度外のもの」を一緒くたにした呼び方なので、注意が必要です。)


東京都が特区事業として、平成30年度から豊島区で混合介護のモデル事業を実施する計画を明らかにしました。これをきっかけに混合介護の規制緩和が今後進んでくるのでは‥という思惑から、介護保険と混合介護の関係が再び注目されつつあります。

たとえば、ヘルパーさんを気に入って次も同じ人を指名したいような場合、「指名料」の徴収という形で、これを受け入れる事業者はいます。ただしその費用は、現在の介護保険制度では「保険外」となってしまいます。


介護保険では、他にも「他の家族の部屋は掃除ができない」とか「食事は本人分しか調理してはいけない」「ペットの世話はできない」とか、本人が自分でできることは(例外はあるものの)基本的にヘルパーにお願いできません。

介護保険は原則として「要介護者本人の自立した日常生活に不可欠な」支援サービスに適用されるため、家族がヘルパーについでの用事を頼んで断られるというのは、よくある話です。 全額自己負担にこそなるものの、このような場合に保険外サービスを利用する余地が出てきます。

ホームヘルパーに頼めるサービス、範囲と内容の決め方


自費サービスは多くの(訪問)介護事業所で行っていますので、まずは保険内か保険外かを確認のうえで、相談してみましょう。

ただし現状では、保険外サービスとあわせて提供された保険サービスの保険適用をチェックする行政の姿勢が厳しいこともあり、その展開に乗り気でない介護事業者が少なくないことは、知っておきましょう。


たとえば保険サービスと一緒に保険外サービスを提供すると効率的な場合でも、職員がいったん事業所に帰り、その後で別の人の派遣を求められたりします。

これでは体力のある事業者が見込み客の多い地域で展開しない限り、なかなかビジネスとしては続きませんよね。実際、保険外サービスを展開する介護事業者は都市部に多く、地方では少ない傾向にあります。


事業者の提供サービスの内容が良くない・料金が高いといった場合は、民間企業やボランティア団体、あるいはNPOが行なっているサービスを探してみましょう。比較的安価な料金で提供されているサービスも、少なくありません。


市区町村のサービスにも、必ずしも要介護認定を受けなくても利用できるサービスがあります。たとえば「火災警報器・自動消火器の購入費用助成」や「緊急通報装置のレンタル」といった防災サービスは、高齢者宅の火災を防ぐという意図もあって全体的に充実しているので、 利用できるものは積極的に検討してみましょう。

家族の在宅介護上の負担と、その減らし方


いまや利用限度額を超えた分を自費で払っているご家庭は、珍しくありません。

たとえば週2日で介護保険でサービスを使いながら、週一で掃除サービスを自費で頼むなど、実質的に混合介護の状態になっている家庭も少なくありません。


注意したいのは介護保険内のサービスに詳しいケアマネージャーでも、 保険外のサービスとなると詳しくないことが少なくないことです。よって、まずは自分から積極的に動いて調べる姿勢を持ちたいものです。

サービスの内容はお住いの地域によっても異なりますので、どんなサービスがあるのかを地域包括センター市区町村の高齢者福祉窓口社会福祉協議会などで尋ねてみると良いでしょう 。


ちなみに行政は自治体・事業者向けに、さまざまな保険外サービスの事例集として「保険外サービス活用ガイドブック」を発行しています。

利用者としてもどのような保険外サービスがすでに存在するのか、事例をチェックしてみるとよいでしょう。

【PDF】保険外サービス活用ガイドブック(厚生労働省・農林水産省・経済産業省)


一見するとメリットづくしに見える「混合介護」ですが、 すでに多くの問題点も指摘されており、今後の展開に慎重さが求められるところです。


在宅介護の現場は「密室でのサービス提供行為」になるため、もともとグレーなサービスが展開されやすい素地があります。利用者が保険内のサービスと保険外のサービスをきちんと区別・判断できるか否か、心配されるところです。

保険内のサービスと思って利用した後に「保険外」として高額の料金を後で請求されたりする恐れもあり、判断力の弱いお年寄りに不利が生じかねません。


提供されるサービスのどこまでが保険内で、どこからが保険外かは最終的に自治体の判断に委ねられるので、混合介護が普及するにつれ、事業者や利用者にとって判断が難しいケースがますます増えてくることでしょう。

将来的には今まで使っていた多くのサービスが介護保険から外され、お金のある人だけが保険外サービスとして利用できる「介護格差」が目立ってくる可能性も、十分ありますね。


要するに混合介護は、利用者のメリットが期待できる一方で、「受けられる保険内サービスの劣化ないし範囲の縮小につながる恐れが拭えない」わけです。


厚生労働省の調査によれば、介護保険の利用者で支給限度額を超えている人は、現状では全体の1.3%(平成27年度)しかいません。

介護保険の自己負担額の範囲内でなんとかやりくりをしようとする家庭が、現在は大半を占めていることが見てとれます。


しかしながら高齢化が急スピードで進み、国の介護保険財源もひっ迫している今日、近い将来「介護保険サービスの使い勝手」がますます悪くなることは、容易に予想されるところです。

長期的にみれば、保険内サービスに限界を感じ、利益を出しやすいサービスとして「混合介護」に注力する民間事業者は増えてくることでしょう。それにより利用者が選べる保険外サービスの種類・バリエーションも増えることになります。


介護サービスの利用者側として、混合介護や新たな保険外サービスの登場に関わるニュースには、日頃から注意を払いたいものです。

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